子どもの漢方 ①発育不良・低体重
子供の発育不良でおなやみのお母さん方は少なくないのでは。
原因はさまざまですが、うまれた時点で低体重児の場合は、経過観察で産院でしばらく様子をみる場合も多いと思います。
中医学的には
腎虚 じんきょ … 成長・発育・生殖・泌尿器に関する『腎グループ』の力が先天的に弱い状態です。
一般にご両親どちらかでも(超)高齢になってからの出産になると、赤ちゃんが腎虚になる場合が多いと言われていますが、食事や生活習慣で改善できますし、漢方薬もたくさんあります。心配せずご相談ください。
脾虚 ひきょ … 脾胃気虚ともいいます。消化・吸収に関する『脾グループ』の力が強くない状態。食事内容や食事の取り方に工夫が必要です。
まずお話しておきたいのは、
低体重出生児の場合は、うまれた時に飢餓状態に近い状態なので、
「体重を増やさなくっちゃ!」という体質を本能的に備えており、体質として太りやすい場合があることです。
また、親御さんも無意識のうちに「赤ちゃんの時ちいさかったから…食べることは良いことだ!」
と食べるようになってから、際限なく食事を与えてしまう事があり、将来的に肥満にもなってしまう危険もあります。
年齢・身長に適した体重を目指しましょう。
漢方の世界でよくいわれるのですが、男性は8年ごと、女性は7年ごとに体が変化します。
こどもの場合も同じように考えて、男の子は8才、女の子は7歳で、一次成長を遂げます。
場合によりますがその頃までは、漢方薬というよりは食事の内容などを工夫して過ごしてみて下さい。
(授乳中の場合は、お母さんに小児にも用いる漢方薬を服用してもらい、おっぱいを通して赤ちゃんにという場合をお勧めする場合もあります。「おっぱい漢方」と呼んでいますが)
気をつけて頂きたいのが、以下の点です。
◆発育不良(低体重など)のお子さんの食事◆
◎主食は白米で!
白米は消化・吸収がよいので主食はごはんがよいです。
「抵抗力をつけなければ…」と玄米食を虚弱体質(発育不良・低体重)のお子さんにあたえる方もいらっしゃいますが、おススメできません。
玄米は体には良いのですが、とても消化が悪く大人が良く噛んでも皮の部分が残ります。胃腸の働きの弱い虚弱児には不向き。玄米は肥満気味・メタボリックの方、少なくとも胃腸の丈夫な方に向く食品であることを気にとめておいて下さい。
◎他の副菜も消化のよいものを。
おかずも消化のよいものをこころがけて下さい。
○生ものは控える
○冷たいものは食べない(消化器官に負担をかけないために)
○加熱する→ 焼く・揚げるよりも、蒸す・やわらかくゆでる ほうが良いです。
○肉類などはそぼろなども上手に利用して。
○良く噛んで、唾液と混ぜ合わせて飲み込む。
一般的に大人の『体に良いもの』といわれている、海藻類、豆類、こんにゃくなどはミネラルも豊富ですが、
食物繊維が豊富で結果的にメタボリックシンドローム(生活習慣病)を予防するものが多いです。
が、吸収が悪く、これも『虚弱体質の子供』に多量に与えるのはよくありません。
『なぜ体に良いとされているのか?』考えれば、それが消化管の弱いお子さんに向くかどうか、分かりやすいと思います。
腎の力を補うとされている食品
くるみ、ごま、松の実、枸杞の実、栗、海老
(すりつぶす、加熱するなどして消化の用状態であげてください。)
脾胃を丈夫にする食品
米、いんげん、長いも(山薬:さんやく と言って生薬にも用います)、りんご、太刀魚、あたためた豆乳、あたためた牛乳
(こちらも消化の良い状態で与えて下さい。季節に応じたものを選びましょう!)
発育不良・低体重のお子さんに用いる漢方薬
熟地黄、山茱萸、山薬、沢瀉、、牡丹皮、茯苓など腎のちからを補う生薬の入った漢方(①)と
飴糖、炙甘草、白朮 など脾の力を補う生薬のはいった漢方薬(②)を組み合わせます。
上記の漢方薬の具体的なものとしては
①■八仙丸 はっせんがん (八仙長寿丸とも言われる、長寿のおくすり!)
■杞菊地黄丸 こぎくじおうがん
■六味地黄丸 ろくみじおうがん (別名:六味丸)
②■小建中湯 しょうけんちゅうとう
■黄蓍建中湯 おうぎけんちゅうとう などがあげられます。
低体重のおこさんの漢方薬を選ぶときは、体重以外のほかの症状も併せて考えます。
○皮膚が弱い
○喘息っぽい・かぜをひきやすい
○おむつが取れたのに、頻繁におねしょをする
○近視
など、腎虚が原因であることも少なくありません。これれの症状がある場合は、相談の時にお伝え下さい。
養生茶・漢方ハーブティー
晶三仙(しょうさんせん) は消化の働きをたすけるので、漢方薬とともに飲むのにもおすすめです。
食前に服用で食欲もでてきます。まずは晶三仙から始めるのも方法ですね。