太れない・胃腸が弱い
薬局の相談で、「太りたい」という人は実は「痩せたい」という人と同じくらいいます。
ただ、「太りたいと言うと嫌味にだとおもわれないかしら…」と、実際痩せていて「太りたい」と思っていても、口に出しにくい方も中にはいらっしゃるようです。
もともとも体質のほかにも、胃の切除手術等によって、一度にたくさん食べれない→太れないという方も少なくありません。
身長(m)×身長(m)×22=理想体重です。 (例)身長155cmの方は 1.55mですから 1.55×1.55×22=52.855 約52.8Kg が理想体重です。
身長(m)×身長(m)×18.5以下だと低体重です。 (例)身長155cmの方は 1.55mですから 1.55×1.55×18.5=44.44625 約44.4Kg 以下だと低体重です。これ以上の体重を目指しましょう。
統計的には少し太り気味の方の方が、寿命が長いといわれていますが、体重があるとそれだけ膝にも負担がかかり、大変です。この体重を目安に徐々に体重が増えればいいですね。
太れない方・痩せ体質の共通点
① 舌の大きさが小さい・細い …舌診をするのに「舌を見せて下さい」と見せて頂くと…舌が細い三角形のような形であることが多いです。
② 声が小さい … 声が細いです。食べ物からエネルギーを吸収しにくいので。疲れやすいという方も。
③ 顔の輪郭に対して顎が小さい … 顎が奥まって見える印象です。
他に
○ 胃下垂 … 胃に限らず、内臓の位置が低い方も多い。これも気虚といってエネルギー不足の典型的症状です。
○ 口臭 … 消化の力が弱い方、胃が悪い方は口臭がする場合も。
等の症状がある方も。
中医学的に太れない・痩せ体質の方は
脾胃気虚 (ひいききょ)… 消化・吸収をつかさどる『脾ひ』グループの力が弱い状態です。食べ物からのエネルギーを吸収しにくい事によるエネルギー不足の症状も出てきます。
中気下陥 (ちゅうきかかん)… 胃下垂など、内臓が理想的な位置よりもさがっている症状は、中気下陥といって、中気=真ん中の気(脾や胃、文字通りお腹のエネルギー)が下がっている状態の一つです。中気下陥も気虚の一つです。
太りたい(痩せ体質)の方に用いる漢方薬
人参にんじん、白朮びゃくじゅつ などお腹の中から気を補う生薬の入った漢方薬を選びます。
内臓か下垂の症状には、升麻しょうま などの生薬の入った漢方薬が良いでしょう。
■リックーンS(錠剤) … 商品名です。錠剤タイプの六君子湯の漢方薬です。
■六君子湯 りっくんしとう … 消化器系に元気を与える漢方薬。
■補中益気湯 ほちゅうえっきとう …
■恵命我神散 けいめいがしんさん … 胃弱のかたに。国産生薬を使った粉薬です。
■晶三仙 しょうさんせん …これは漢方ハーブティーです。サンザシが肉類・油ものの消化、ふすま(生薬名:神曲)がでんぷん類の
消化を助けます。酸味があり、食前服用で食欲が出てきますし、食後服用で消化を助けてくれます。
食養生・食べ方のアドバイス
痩せ体質の方は胃腸が弱い方がおおいですが、もたれるからといって肉類を全く食べないのはやめて下さい。
お肉にはたんぱく質で、アミノ酸が含まれています。アミノ酸は、必須アミノ酸8種類がそろわないと体に必要な働きをしてくれないからです。アミノ酸には魚に多く含まれるもの、肉類に多く含まれるものが、大豆類に多く含まれるものがあります。
少量でもお肉も食べて下さいね。
他、気をつけて頂きたいことは以下の通り。
山芋など、消化器系に良い食品も多いですが、食品よりも、『食べ方』が大切と考えます。
①生ものは控える。…生のサラダより、煮物や温野菜。肉・魚も火を通しましょう。
②消化のよい食品をとる。…玄米よりも白米の方が消化がよいです。
③とにかく、良く噛んで唾液と混ぜ合わせて食べる。
唾液もアミラーゼという消化酵素を含む消化液です。主にご飯など炭水化物の消化を助けます。
食べ物が細かくなることで、胃腸への負担も減って、吸収が期待できます!
④術後などで、一度にたくさん食べれない場合は、間食にお菓子ではなく、小さなおにぎり・ふかした芋などを食べる。
(1日に摂取したい栄養を5回にわけて食べましょう。)